ピカソの視点
こんにちは。
皆さん、今日はこのサロンの由来となっているパブロ・ピカソについて話しましょう。
ピカソといえば、あの落書きのようなヘンテコな絵を思い浮かべますよね。
「あんな落書きが売れるなんて意味が分からない」とか思ったことがあります。
実はピカソは写実的な絵を書いたら天才的に上手いんです。
ピカソが子供の頃には、すでに大人以上に上手な絵を書いていました。
しかし、ピカソは写実的な絵を書くのを辞めて、落書きヘンテコ画を描き始めます。
あの絵の書き方を「キュビズム(Cubism)」と言います。
なぜ天才画家だったピカソがキュビズムに傾倒していったのか?というと、
それは時代背景が影響しています。
その時代背景とは、、
写真の台頭です。
写真が開発され、絵画より圧倒的に写実的なツールが普及したことで、絵の価値が相対的に失われていったのです。
このままでは、絵の存在価値がなくなる。
そこでピカソは遠近法を無視して、物体をあらゆる角度からみてそれを二次元の絵に翻訳するという手法を考えだしました。
写真は、被写体の正面を映し出すことは得意ですが、その被写体の裏側を映し出すことは不可能です。
正面だけではその被写体の本質を全て表現したことにはなりません。
一方、絵画は正面だけでなく前後左右あらゆる角度から物体をみて描くことができます。
それを一枚の紙に描き切る手法をピカソは考えだし、絵画にしかない本質的価値を再発見したのです。
やがて、キュビズムは画角だけでなく時空も超えるようになり、複雑に発展していきます。
パブロ・ピカソが導き出した「本質を多面的にみること」は、私達の生き方にも新たな気づきを与えてくれます。
先日、私が引越しした際、引越し当日の朝に妻から衝撃的なことを言われました。
「今日は在宅で仕事するよ」
私の心の中では「えええ、何言っちゃってんのよ。絶対無理だって!」と言う怒りの言葉が駆け巡りました。
しかし、次の瞬間「この言葉を別の角度から表現してみよう」と唱え「私にはない、ものすごい発想力だ」という言葉に変換しました。
すると怒りの言葉は消滅し、前向きな気持ちで引越しすることが出来ました。
私がクライアントでビジネストレーニングする際にも、言葉の角度を変えています。
例えば、「問題」を「伸びしろ」に置き換えるだけで、前向きな気持ちで仕事に臨めるようになります。
目の前の同僚に腹が立ったとしても、それはあなたが正面から見ている相手の一面なのです。
人を多角的にみることで、本質が見えてきます。
そう考えると私達は見えているようで、実は物事の本質をほとんど見えていないのかもしれません。
裏を返せは、私達の目の前には見えていない価値が溢れています。
「自分には見えていない相手の本質は何か?」と自分に問いかけてみたら、ピカソのように新たな発見があるかも知れません。