二宮金次郎の自己責任
先日「二宮金次郎」をテーマにした映画を観ました。
二宮金次郎は、二宮尊徳のことです。
二宮金次郎は真面目に勉強して出世した人という印象ですが、その後の人生で如何にして社会に貢献したのかを描いた映画です。
金次郎は農民でしたが勤勉に勉強し、自分の家や村の復興に貢献しました。
その成果が認められて、他の土地に派遣されて日本各地で農村の復興を果たします。
映画ではある村での10年間が舞台になっています。
金次郎が復興に向けて農民たちと共に成果を出し始めた時でした。
新たに派遣されてきた武士「豊田正作」が金次郎の成果を妬み、金次郎を虚偽報告で追放しようとしました。
実権を失った金次郎から農民たちは離れていきました。
農村の復興に失敗し、豊田に怒り絶望し迷った金次郎は寺で修行に入ります。
そして、修行を終えた金次郎は何かを悟り変化が起きました。
それは、
「全ては自分の責任だ。相手が悪いと思っている内は何事も達成できない」でした。
それまでの金次郎は農民が博打や酒に溺れている姿をみて、怒り叱責していました。
また豊田が協力せず逆に自分を追放しようとしたことを恨んでいました。
しかし、相手に怒っても恨んでも自分の環境は変わらないことに金次郎は気づいたのです。
相手が自分を裏切ったとしてもそれは全て自分の責任だ、を受け入れたのです。
全ての責任を受け入れた金次郎は、敵対していた豊田を許し仲間にすることに成功します。
そうして農村の復興が加速していったのです。
私はサラリーマン時代に会社で四面楚歌になった経験があります。
会社が成長するよう社員が成長するように部門内の人材育成計画を提案したのですが、管理職の皆さんから拒否されました。
私は「なんで部門内の人財育成計画を否定するんだよ。おかしいだろ」と思っていました。
実際に入社してから体系だった人財育成計画はなく、OJTという名のメンター任せという部門でした。
「私は正しい」という立場を私は取り続けましたが、その態度を続けるほど状況は悪化していきました。
ますます追い込まれた私は八方塞がりになりました。
「最後まで悔いを残さぬようやりきろう。自分が成果を出せていないのは相手が悪いんじゃなくて自分の責任だ」と思った私は、部門内の「嫌いな人リスト」を作りました。
なぜか?
そして、嫌いな人リストの一番上から順番にサシでの飲み会を申し込んだのです。
最初の一人目に申し込むのは、本当に緊張しました。
その人がタバコスペースに一人でいることを確認して、そこに行きました。
私「Aさん、私と飲みに行く時間をください」
A「え、、、いいよ。だ、だれか呼ぼうか?」
私「いえ、サシでお願いいたします」
A「わ、わかった、、、行こう」
私がAさんを嫌っているということは、相手もわかっています。
だから二人の間に物凄い緊張感が生まれたのです。
ある日、二人で飲みに行きました。
私はなぜ人財育成計画を作りたいのか、なぜ必要なのか、を説明し、Aさんのアドバイスを求めました。
そうすると最後にAさんは「お前のやりたいことはわかったよ。思ったとおりにやってみな」と優しく言ってくれたのです。
その後他の人とも順次サシ飲みし、全ての人から協力を取り付けることができました。
私の主張は全く変わっていません。
ただ、自分の責任のとり方が変わったのです。
上手く行かないのはすべて自分の責任と思えば、相手に怒りや恨みが湧くことはありません。
逆に感謝と謝罪と寛容の精神が湧いてきます。
こうして、私は部門内の信頼を得ることが出来ました。
その後は何を提案しても聴き入れてもらえるようになりました。
以前の私は周囲の人との信頼関係を築けていなかっただけだったのです。
もし組織の中で上手く行かずに悩んでいる人がいたら、こう思ってみてください。
「上手く行かないのはすべては自分の責任」
対立する人がいたら、その人との関係を修復してください。
相手が悪いと思っていても、毎日相手に感謝してください。
そうすることで、初めてあなたの主張は相手の心に届くでしょう。